次へ伝えるということ

奈良井の町並み


 先日、長野県塩尻市にある「奈良井」に行ってきました。
奈良井は奈良井宿と呼ばれる中仙道の宿場町として栄えたところで、江戸時代は「奈良井千軒」と呼ばれていたそうです。
ここは現在も江戸時代の宿場町の町並みを残しております。
朝の人通りの少ない時間に奈良井宿を散歩すると、まるで江戸時代にタイムスリップしたような錯覚です。
古い町並みを残すのは、並大抵の努力では出来ないと思います。
当然、町並みを残すことを優先すると個人の自由も制限されるし、実際家を建て替えたりするのも景観を損なわないようにしなければならにとか。この江戸の雰囲気を残すために、皆さん大変努力されています。



 しかし、時間と共に店が開き人が増えてくると、当然のことながら江戸時代でないことに気がつきます。
おそらく、この奈良井宿の大半は宿屋だったと思いますが、現在ではお食事処やお土産屋さん、あと奈良井名物の漆物の店だったりします。(もちろん宿もあります)
町並みは残しつつも、生活もきちんとしていくためには、変化するものは変化して対応していかなければならないのでしょうね。



 でも、ここに住んでいる人たちが持っている変わらないものをところどころに見つけました。
それは、「水場」というところに見ることが出来ます。
奈良井宿には何箇所か「水場」というところがあり、おそらく湧き水と思われる水が懇々と湧いていて、そこは我々のような旅人が手を洗ったり、少し水を含んだりできたり、町の人が生活の為に使うことができます。
そこの水場一つ一つに神様が祀られていて、きちんと手入れされている様子でした。
また、奈良井宿の入り口、出口には神社があり、中程の鍵の手と呼ばれているクランク状になっているところ(多分とても大事な場所だと思います)にもお不動様がきちんと祀られていて、昔ながらの信仰心といいますか、今あることに、または全てのことに感謝するということは、昔も今も変わらずに綿々と続いているという感じがしました。



 お話によると奈良井宿には年間30万人ほどの観光客が押し寄せているそうですが、実際はインフラの整備を進めれば(駐車場等が足りないらしい)もっと人を呼べるそうです。
どのくらいの観光客が増えるのが現地の人にとっていいのか分かりませんが、きっと観光客がもとめているのは単なる建物の外観だけではなく、町全体のもっている雰囲気であったり、そこで活動している人間の暖かさであったり、今の人たちが忘れてしまっている感謝の気持ちだったりするのでしょう。
ここに足を運んだ人間が、単なる癒しだけではなく、ここで感じたことを自分の人生や生活にきちんと取り入れ、奈良井が特別な場所でなくなったときに、日本人が幸せになるんじゃないかな・・という気がします。
少なくとも何とか手当てとかでは、真の幸せは得られそうにないですね。
それでは、今日はこの辺で。


PS 
奈良井でとても素晴らしい漆器の伝統工芸士の方にお会いしました。
お店のホームページを付けて置きますので、奈良井へ行く際は是非訪ねてみてください。(通販もやっています)
http://www.harunoya.net/