第十話:手作りの美しさ

長篠モックアップ手作り


パートナー産業で城郭を再現したジオラマ制作をとり進めており、私がこの事業を立ち上げるに至った経緯についてブログで分かち合わせていただいております。
この商品は「城郭復元ジオラマ・その城に関するムック本・テーマ音楽」の3点セットを予定しています。
この城郭復元ジオラマの販売先はまだ決まっておりません。
ご興味のある企業、出版社等ご連絡いただけますと幸いです。
「パートナー産業のホームページ→お問い合わせ」よりご連絡ください
皆様、この事業に対する応援を是非よろしくお願いします。



長篠城に行って藤井氏とも打ち合わせを重ね、長篠城の地形データは徐々に洗練されていきました。虎口や土塁、堀の形状も結構悩んだりしましたが、最終的にはなかなかカッコイイ形になったと思います。



さて、モデリングを進めながらお城のモデルをどうやって発売していくか、ということも考えながら進まないといけません。
この時期に悩んでいたのは塗装済みの製品にするか、しないか?ということです。
子供のころにプラモデルを作っていて、一番困ったのが色付けでした。
よりリアルにするために色を塗るのですが、技術が伴わなくて結果的にあまりリアルじゃなくなるwwという事態によく陥っていたのでした。
おそらくそれを受けて最近のガンプラはほぼパーフェクトな状態で色づけされてたり、着色済みのフィギュアが流行っているのもそいういう消費者のニーズがあったからなのでしょう。そういう意味で私も「着色している」状態が望ましいと思っていましたが、(価格はアップしてしまいますが)じゃ、どこに相談すればいいの?っていう話になるわけです。
ここでも私はインターネットを使いググりまくりました。
でもインターネットって本当に便利ですねぇ・・・



そして、私は「株式会社アイビプロテック」という会社にコンタクトをとってみることにしました。「NAGAEアートプロダクション」といったほうが知っている人が多いかもしれません。
私はそれまでは存じ上げなかったのですが業界ではかなり有名な会社らしく、一般ユーザーや企業からモデルの塗装依頼を受け、まさしく思い描いていた通りのリアリティを表現するのが得意な会社です。
たまたま打ち合わせの際に長江社長がいらっしゃってお話する機会があったのですが、とにかく「想い」を大切にする社長さんで、私のもっている「想い」と長江社長の「想い」、そこに何か共通のものがあるような気がしました
もちろん基本的には城跡は作ったことがないということでしたが、「想い」の先に行ったときに何かが成し遂げられるような感じがして、よく判らなくて不安だらけだったけれどとにかくこの会社と進んでいく決意をしました。



そして、色彩のチェックのためにNAGAEアートさんと再び長篠城を訪問しました。現地訪問は私が強く希望しました。現地には写真では感じきれない沢山のものがあります。それを五感で感じていただき色彩を表現してもらうことがモデルの質を上げるという確信があったからです。
そして、担当の方と現地で城を歩きながら話をしていたら、なんと実は城好き、しかも武田ファンだと言うじゃありませんか!素晴らしい!私も自分の引きの強さに脱帽しました。そして、彼は自信たっぷりに言いました。「任せてください、素晴らしいものを作りますから」と。私は不安を所有しながらも、彼の言葉やここまで来た流れをとにかく受け取って進もうと決心したのでした。



そして、NAGAEさんに原型を発注する運びとなったのですが、この時に問題が起きました。
私どもは3Dでモデリングしているのですが、NAGAEさんは3Dデータを使った原型は作れないとのことでした。でも2次元の設計図があれば手作りで行うと。
そこで私は3Dのモデルから平面図を起こし、その図面に高さの情報を記入してNAGAEさんに送りました。実はこの方法は私が最初に思いついた方法、GPSを使ってやろうとしていたことそのものだったのです。
そして何度かの修正後、着色を終えついに原型が納入されました!


う、美しい〜。しかも、これ、手作り・・信じられん。



NAGAEさんの技術の高さに脱帽しましたが、実は私が大変なミスを犯していたのです。私どもは建物や門を配置するため、ミクロン台の精度にこだわって3Dをモデリングしていましたし、逆に土塁の形なんかは寸法よりも見た目の美しさにこだわって造っていました。手作りで作った今回の原型の場合、もちろんかなり正確にはできていてるのですが、手作業の限界というか少なくとも3Dのデータから平面図に起こし、それから原型になるにつれて誤差が生まれてきます。3Dデータ上に込められた私の意図から少しづつ離れていくわけです。
そもそもこの作業に対するノウハウもなかったわけですから仕方がないのですが、私は「やっちまった!」という失敗感に包まれました。
振り返ってみると、不安なあまり大切な部分を自分以外の存在に依存していた、パワーを明け渡していたことに気づきましたし、一方で未知なるものへの可能性、手作りの素晴らしさを体感したかった自分もいたんだということを感じました。
とにかくちゃんと完了して、次に進む。思いを受け取って先に進むということを意図することが大事です。
しかし、この原型は色見本のマスターとしては使えるし、とにかくこれを見たときに「よし、いけるぞ」という気持ちになり、また一つの推進力になったのでした。



このつづきは次回。



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